ダイコンこども食堂は『放課後キャンパスクラブ』という活動に生まれ変わりました。

誰もができる子供の貧困を解決するたったひとつの方法

誰もができる子供の貧困を解決するたったひとつの方法

こんにちは、只野(@motomiki_lab)です。
私はダイコンこども食堂という活動を行っています。

その活動は2015年10月から始めました。
当時からひとり親のワーキングプア問題は議論されています。

これだけ《数字》で示されたら、日本が特異な現状であることがわかりますよね。
未だ見ぬ解決に向けてさらなる議論の必要性を感じます。

先日に以下のツイートをしました。

このOECDワーキングペーパーの分析はとても参考になります🤔
≪働くことが貧困改善につながらない≫、この日本だけに存在する≪事実≫に気付いてほしい!
ひとり親世帯はとても大変な状況なのです😞💦
ダイコンこども食堂を始めた時からある根深い問題ですよ。

《子供の貧困問題》改善のヒントは、《親の就労支援》ではないという事実です。

その考えを掘り下げていきます。

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ひとり親家族の子供にはなぜ貧困が多いのか?

《子供の貧困》、飽食の現代にこの言葉を聞いたのは2015年の夏頃だったと記憶しています。その当時は6人に1人の割合で子供が貧困状態であると報じられていました。現在は7人に1人の子供が貧困である。

地域活動に関心があった私は、「自分にもできそうな支援だ」と考えて、子ども食堂の活動を開催する準備を始めました。また講演会などに足を運び、人に会い話を伺ったりして子供の貧困問題について情報を集めました。

そして《ひとり親家族の子供》が、さらに厳しい状況である現実を知ることになりました。厚生労働省の発表した2016年度の「全国ひとり親世帯等調査」によると、ひとり親世帯の9割近くが《母子世帯》である。

OECD(経済協力開発機構)の調査では、相対的貧困率は54.6%と約半数が貧困状態であるという《事実》を示しています。親が働いているにもかかわらずです。そうワーキングプアなのです。

雇用形態に目を向けると、これもほぼ半数が非正規雇用だ。国勢調査を見ると、親戚が近くにいない母子のみの世帯では、平均年間収入は243万円です。これでは余裕もなく生きていくだけで精一杯ですよ。個人がどうこうできる問題ではありません。

社会全体でひとり親家族を支える必要があるのです。

【シングルマザーの現状】

  1. 81.8%の母親が働いている
  2. フルタイムの勤務が難しい
  3. 非正規雇用が48.4%
  4. 親戚がいない孤立した母子世帯では平均年間収入は243万円
  5. 養育費を受け取れているのは24.3%だけ
  6. 養育費の平均月額は4万3707円、明らかに少ない

ワーキングプア、子供の貧困はひとり親の問題に起因している

シングルマザー

子供の貧困問題を辿っていくと、当然ひとり親を取り巻く問題になります。一生懸命に働いても、なかなか抜け出すことができないひとり親家族のワーキングプア問題。じつに深刻です。

それは数字からも《事実》を示しています。

すべてのひとり親が仕事をしたシナリオ

OECD(経済協力開発機構)の分析結果では、すべてのひとり親が仕事をしたシナリオでは、OECDのどの加盟国でも貧困率は大きく軽減している。しかしながら唯一日本だけは、 すべてのひとり親が仕事をしたシナリオでは、貧困率が《逆に悪化する》のです。これは衝撃的ですよね。

ひとり親家庭の所得が増えれば、生活の質が向上する。これは理解しやすいですよね。だけど日本はそうならない。と言うことは、日本のひとり親家庭に対して、貧困問題を解決するために就労支援をしても、《まったく効果がない》ことが考察できます。

チャイルドペナルティを除去したシナリオ

次にチャイルドペナルティを除去したシナリオでは、日本のひとり親家庭の貧困率が、他の加盟国と比べて一番大きく下げることができた。

《チャイルドペナルティ》とは、出産によるキャリアの中断、昇進面における不平等、賃金格差などが存在し、それは貧困率につながる。子供を育てることによって背負う社会的不利のこと。

つまり日本におけるひとり親家庭の貧困は、社会の構造によって作られているといっても言い過ぎではない。

さらにジェンダーギャップでも、日本は先進国の中で恥ずかしい順位ですよね。国がこれらの事実を受け止めて正しい施策を実行できるように、社会全体で声を上げていかなければならない。

【世界から見た日本のおかしな点】

  1. 働いても貧困の現状は改善されない
  2. 社会的不利の是正が有効であることの理解がない
  3. 自己責任論が大きく取り上げられる
  4. 男女差別も存在するが社会の認識は乏しい

支援の必要性、ひとり親家庭の子供に私たちにできることは?

子どもたち

ながらく、いや現在でもひとり親家庭への主な支援施策は《自立に向けた就労支援》です。それ自体は悪いわけではないけど、それが効果的で貧困の改善につながるのは《日本以外の国》であることは、OECD(経済協力開発機構)の分析が公表されている通りである。

結論は子供の貧困問題を解決できるのは、チャイルドペナルティ(社会的不利)を無くすことに向けた取り組みである。

国策としてもちろんのこと、地域社会でひとり親家庭を支え合うことも重要な議論です。例えば気軽に相談できるつながりが身近にあることは、子育て世帯にとって心強いものとなるはず。

また最近議論されている《ベーシックインカム》も、諸外国の試験的な試みにも注目するべきでしょう。

とにかく情報を集めて数字に基づいた《事実》を理解する。そして論理的に社会全体でアイデアを話し合うことが大切です。子供の貧困問題は待ったなし!の状況ですから。

先日ある記事を読みました。

不況な時こそ、困っている人を助けることにお金を使った方が、経済的に圧倒的にお得だよ。逆にそれをしないと、人が死ぬよ。結果的に社会全体が衰退するよ、ということでした。この本の本当にすごいところは、この結論を統計的に証明したことなんです。

自己責任論 VS みんなで支え合う論。 経済的にお得なのはどっち? データに基づいて検証してみた結果…
https://note.mu/cohee/n/n43fa35404987

《自己責任論》なんて生きにくい社会ですよ。その結果、自分の首を締めているんですから。だから普段から寛容な気持ちで生活を送りましょう。助け合って生きた方が、だんぜん楽です。

【私たちにできることは】

  1. 国はもちろん地域でも子育てを応援
  2. 近所の子供を見守ろう
  3. 自己責任論の考えを改める
  4. このブログをシェアする

【参考文献】

桜井啓太(2019) 「“子育て罰”を受ける国、日本のひとり親と貧困」<https://synodos.jp/welfare/22579>

読売新聞(2018)「日本のシングルマザーの貧困率が突出して高い理由 」<https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20181016-OYT8T50013/>